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ソーシャル・ビジネス認証プログラムを振り返る(3)

HECのソーシャル・ビジネスの有名コース、Social Business/Enterprise & Poverty Certificate (SB/EP) の振り返りの最終回です。

C4:新消費者行動論(New Consumer Behaviors)

SB/EPの責任者かつマーケティングの有名教授、F.ダルザス教授の渾身の?授業。とにかく飽きさせないように工夫をこらしつつ、半ば強引とはいえ結論まで持っていく手腕はさすが。好き嫌い・賛成不賛成はともかく、授業では常に彼の考えやメッセージがとてもクリアなのでわかりやすいです。

他のコースがあくまで企業側の視点に立って議論されているのに対し、本コースではあくまで消費者の行動に焦点を当てることで、マーケティングの観点から、いかに消費者が社会問題の解決等につながる行動を取るのか(取らないのか)を中心に、マーケティングで何ができるのか?といった方向でコースは展開されました。

肝の部分としては、あくまでマーケティングの授業なので、直接他のコースとは関わってこないところもあるのですが、さすがにSB/EPの責任者だけあってダルザス教授は、他の授業で扱っているケースも引き合いに出しながら、うまく授業をコントロールしていきます。

本当に面白い授業だったので、いろいろ書きたいことがあるのですが、彼のメッセージの要点だけ簡単に書くことにします。

ダルザス教授はいわゆる伝統的なマーケティングを嫌うタイプの教授です。不必要な消費を煽り、時には消費者を騙す(とは言ってないけど、誤認させるかのようなという意味か)ようなマーケティングを「醜い」と一刀両断します。彼曰くマーケティングの将来は3パターンあるらしく、それぞれ、エゴ・マーケティング、テクノ・マーケティング、アルター(Alter)・マーケティングと名付けています。

エゴ・マーケティングは、従来型の消費を刺激しようとするタイプのマーケティング。授業の余談ですが、何年か前、F1界のボス、B.エクレストン(Bernie Ecclestone)がロンドンで強盗に遭い、殴る蹴るの暴行を受けて自らのHublotの高級腕時計を奪われた際、事件直後の負傷写真を使ってHublotの広告に利用することを思いつき、"See what people will do for a Hublot."というキャッチで広告を打ったという話を教授がしていましたが、これもダルザス教授にとっては「醜い」ものだったようです。これこそエゴだ、みたいな感じなんでしょうね。
(個人的には洒落っ気があるとは思いますが…。興味があればGoogleで検索してみてください。たぶん出てきます。)

エゴ・マーケティングはこれまでのセグメントから個人重視。消費者との対話というよりは消費者とともに商品開発をする方向なるだろうというのが彼の見立て。テクノ・マーケティングは、ITを駆使することでマーケティングのあり方が再考されるというもの。これは単純というか当たり前のことですが。もっとも、逆に一消費者であっても、website経由でいろんな発信ができるようになってきているということも確か。

そんな中でダルザス教授がもっとも力を入れているのは、アルター・マーケティング。マーケティングこそが消費者が考えていることを実際に行動にうつす(または消費者の行動を変える)のに重要な役割を果たしているんだ、というのが彼の考えなんですね。マーケティングにより消費者の行動を変える。エゴ・マーケティングに対抗するためにアルター・マーケティングで消費者をより良い方向(何が「良い」かはさておき)へ変えたいということです。行動を変える際の要因は、個人的な事情であったり、法的な規制、教育等々がありますが、マーケティングもその要因の1つであり得るのではという話。

授業で盛り上がった1つの話題は、ホテルのタオル交換の話。環境保護云々の理由から、できるだけ連泊中のタオル交換なしで元のタオルの再利用についてご協力ください、みたいな掲示が日本でもされていると思います。

とあるホテルで、この再利用率を高めるため従前の掲示に新たなメッセージをつけ加えたらしい。
新バージョン1「当ホテルに泊まられたお客様の約70%が再利用についてご協力くださっています。」
新バージョン2「当ホテルのこのお部屋(○○号室)に泊まられたお客様の約70%が再利用についてご協力くださっています。」

実際このメッセージでどうなったかというと…
 当初(35.1%)→新バージョン1(44.1%)→新バージョン2(49.3%)
なるほど、再利用率を高めるという意味では一定の効果があったわけです。

ただしこのアプローチの良し悪しは意見が分かれるところ。だって、「70%が」というくだりは事実じゃないわけですから。授業でも「単なるウソつきだ!」という意見も出ていたし、逆に「結果として人々の行動が好ましい方向に変わったんだったらいいんじゃない。」という意見も。そもそも35.1%→49.3%という数字も信じられない(元々方便で適当な数字を使っているぐらいだから結果のデータも信用できない)みたいなことまで。

ダルザス教授が言いたかったのは、これがマーケティングの力だということ。正しく使われれば影響は大きい。行動にインパクトは与える反面、一種の倫理的というか道徳的なジレンマが常に発生するという事例だってことです。

そんなダルザス教授のお気に入りの事例は、男性用トイレのハエ・マーク。わかります?アムステルダムの空港が有名ですが、男性用トイレの便器にさりげなくハエのマークを施すことで、用を足している男性の意識がそこに集中し、汚れが飛び散ることもなく清掃もスムーズになりきれいなトイレが維持できますってやつです。本当に効果があるのか統計的に有意なデーターがあるのかは知りませんが、彼はこれこそがインセンティブ効果だと言ってて、みんな爆笑してました。マーケティング的な創造力でちょっとした行動を誘導する、それが彼の理想型のようです。

ちょっとソーシャル・ビジネスから離れたけど、消費者行動に関わる彼のレクチャーは本当に面白かったです。残念なのは、今MBAのプログラムでは彼は講義を持っていないこと(2年前までは教えていたのですが)。今やMBAでマーケティングのトラックを選択しても彼の授業は取れないので、マーケ選択でもない魚尾獅が彼のクラスを取れたのは非常に幸運で、これも何かの縁かなって思っています。
(ちなみに彼は日本在住経験も長いので、日本ネタが好きです。変な日本語で話も振ってきます。)


C5:Finance and Social Business(ファイナンスとソーシャル・ビジネス)

ソーシャル・ビジネスのファイナンスに特化した女性講師2人を中心に、ロール・プレイをふんだんに盛り込んだ実演型ファイナンス・コース。面白いけど、これも短時間であれこれ詰め込みすぎでちょっと無理があったかなという感じ。

起業家役、地方政府役、大銀行の地方支店役、ベンチャー・キャピタル役、NGO役などが一定のストーリーをベースに円卓会議を開いて議論したり、多額の寄付をベースにどうやってファンドを組成するかとか、単純にベンチャー・キャピタル・ファンド立ち上げプランを作るコンテストなど、ワークロード的には負荷が高かったクラス。

魚尾獅は、元々の背景知識が不足しているのですが、他のマスターの学生はだいたい共通のやり方というかメソッドが頭に入っているらしく、ちょっと噛み合わないこともありましたが、最終成果品を見ると、何が必要とされているかは何となくわかったような…。先に理論というか基礎知識の定着を行ったうえで、実践に入ればより効果的だったような気がします。

C1のモバイル・バンキングで登場したライ教授(Minh-Huy Lai)がここでも登場。相変わらず切れ味鋭い明快な口調と体系化された説明技術で、貸付・貯金・保険等々、マイクロ・ファイナンスの各種サービス全般の詳しいレクチャーが聞けました。その後、ケースでおさらい。理論→ケースの流れが体得しやすいという良い例。

グラミン・グループに代表されるようにアジアでは7割近い浸透率をもたらしたマイクロ・ファイナンス。一方、一昔前の日本の消費者金融問題のように、いろんな規制の必要性も検討されており、マイクロ・ファイナンスの実施主体も玉石混交といった状態。より消費者保護の観点に今軸足が移されてきていますので、本当に日本の消費者金融業界のように大きな変化があるかもしれませんね。


SB/EPのプログラムは、以前記事にも書いたビジネス・プランのコンテスト、Social Business Labや多彩な講演会など本当に盛りだくさんです。これをどのように自分のものにするかも自分次第です。手を抜けばいくらでも抜けるし、そうじゃないようにもできます。自分も含めて、みんないろいろ関心は違っているので、それぞれ自分のこだわりを持ちながら取り組んでいたように感じました。他にも書きたいことはいろいろあるのですが、キリがないのでこれぐらいで。

コース全体のオーガナイズは、MBAに比べると、ちょっと弱いというか、例えば成績評価の問題や提出課題に関する連絡等が混迷していたのはちょっと残念なところ。ただ、オフィスのこのプログラム担当の女性スタッフは本当に熱心で、授業にも結構来てましたし、プログラムの内容を見直したり、以前紹介した(記事はこちら)、ダノンやユヌス博士のイベントとの連携、卒業生情報や各種インターン情報の提供など、ワン・ストップで全ての業務をこなしていました。スタッフのやる気からも、このプログラムの力の入れ具合は感じることができました。
(アカデミック側でない、いわゆる事務方が授業受けているのはさすがに珍しい。)

細かいことはいろいろ要改善なのですが、魚尾獅自身は非常に納得したというか充実したプログラムだったと思います。交換留学での受講も可能なようですので、他のビジネス・スクールでHECに関心のある方も、4月以降の春学期であれば、受講できる可能性もあると思います。

最後に、公式サイトのリンクだけ貼っておきます。こちらからどうぞ(情報が薄いのが難点ですが)。

これで今学期も無事終了…と行ければ良いのですが、HECのMBAプログラムは7月上旬まで授業があります(そこが2年制の学校よりややタイト)。まだ終わっていない選択科目があと2つあったりします。「ヨーロッパ事情」と「クリエイティブ・マーケティング」。後者に至ってはまだ始まってもいません(集中講義なので)。
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theme : MBA
genre : 学校・教育

プロフィール

Merlion(魚尾獅)

Author:Merlion(魚尾獅)
SINCE APRIL 2010

第4部 アフリカの奇跡(2014年12月~)

第3部 フランス留学生活(2011年8月~2012年12月)

第2部 留学準備中(2010年10月~2011年7月)

第1部 "Business School"へ挑戦(2010年4月~2010年9月)

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